25年度 寄稿

平成 28 年度全国高等学校柔道大会開催に向けて

平成 24 年度高体連柔道専門部
強化部長 佐々木浩三

 昨今、報道等で柔道界のモラルの乱れが指摘され、私たち柔道を愛する人間としては心の痛む日々が続いています。全日本柔道連盟指導者の暴力問題、助成金問題、セクハラ問題など、このままでは柔道離れに拍車をかけることになるのではないかと心配しています。
 そもそも、この競技の出発点となる柔道精神とは「心身の力を最も有効に活用する道。そして自らの心身を鍛え、人として社会に貢献できる有益な人材を育成する道」です。今こそ、次世代を担う青少年の健全育成に柔道界として総力を挙げて活動を展開しなくてはならない時期が来ていると考えます。
 こうした逆風の中、平成 28 年 8 月に島根県で第 65 回全国高等学校柔道大会(インターハイ)を開催することが決定しました。全国大会が地元で開催されますからには、「何としても勝ちたい。」「成功させたい。」という気持ちになります。平成 28 年に向けて、選手育成のための強化練習や遠征合宿、大会開催のための膨大な準備作業、そしてこれらを支える募金活動等が必要となってきます。
 畳の上で競技することだけを柔道ととらえず、これら一つひとつの事業を遂行する中で、礼の心、感謝の気持ち、自己コントロール、努力する心、思いやりの心、謙虚な心、仲間を思う心・・・こうしたものを培うことで人を育て、次代の飛躍を築く大事業としたいと考えます。
 柔道に魅せられた私たちですからこそ、その柔道の価値を今まで以上に高めていく義務があると思います。柔道をやっていて良かったと思える柔道界を私たちの手で作っていきましょう。
 平成 28 年島根インターハイ開催が、島根県民はもちろん、全国の柔道ファンに柔道の良さを伝えられる大会にしたいものです。そのためには、私たちが襟を正し、子供たちに柔道の真の素晴らしさ(心)を伝え、そして勝利を収めたいと思います。

 

2度目の全国大会を終えて

出雲市立第一中学校 佐々木ちえ

 私は平成24年度に神奈川県で行われた全国中学校柔道大会に出場しました。その前年度は、1年生で幸運にも全国大会に出場させていただきましたが、自分の力を十分に発揮できず、ただ悔しい思いが残って夏が終わってしまいました。
 全中で見たすごい争い。勝負をかけて一生懸命がんばっている人が沢山いました。
 私は、自分なりにがんばって、つらいときにも踏ん張って、努力してきたつもりだったのですが、その努力はまだまだ足りなかったことを思い知らされました。全国大会出場と言うことに気をとられ、上を目指すことを考えていませんでした。全国大会で上位を目指して一生懸命戦っている人達は私よりも何倍も輝いて見 えました。悔しい、このまま、見ているままで終わりたくない、私も上を目指してがんばってみたいです。と心から思いました。
 そのためには、自分の力を最大限に発揮できることが必要です。それにはただ、勝負に勝つだけではなく、人として当たり前の生活態度がとれること、当たり前に挨拶をし、当たり前に掃除に取り組み、当たり前をしっかりと出来ることが大切で、そんな人になりたいと考えました。
 私は、理想の自分を思いえがき、次の全国大会に向けて少しずつ努力を積み重ねようと決意しました。練習中に雰囲気を高めることを意識することから始めましたが、最初は大変でした。私が声を出しても、それに続いて声を出してくれるのはたった2,3人。なかなか練習が盛り上がらず落ち込んでしまうこともいっぱいありました。それでも、あきらめずにがんばることに意味があるんですと、くじけそうになる自分を自 分で励ましながらがんばりました。

 だんだん周りもついてきてくれるようになり、仲間と一緒だから楽しいと言うことがわかってきました。何事も、出来ないからとくじけていては、始まらないと言うことを感じました。このころになりますと、結果もさることながら、全中が終わったら引退してしまう先輩方、大好きな先 輩達との楽しい思い出、決して無駄ではなかったと言える、自分にとってもみんなにとっても大切な時間だったと思えるように、密度の濃い練習をしようと考 えていました。
 全国大会。私はただただ「何もしないで負けるだけではいやだ。自分の力を最大限に発揮できるように、最初から全力で行こう。」と 思い、一試合、一試合、これが最後になってしまうと思いながら戦いました。結果は3位。準決勝で優勝者とあたり、そこで私は一本背負投を全力とは言ない 状態でかけてしまいました。そこをすくわれて持って行かれました。あっという間に試合は終わってしまいました。準決勝まで自分が来た、という事実に混乱し 「平常心」を最後までつらぬけませんでした。しかし、それ以上に相手と自分の力の差も感じました。日本一とはそう簡単にはなるものではありません。と思い知ら されました。
 私には、まだ欠けているところがいくつかあります。ここで優勝できるとは思えなかったと言うか、こんなもので優勝してはいけないと感じました。それでも、1年間の努力は自分を成長させたと感じました。1年前に思いえがいた理想に近づけたのではないかと思いました。
 でも、まだ勝負はこれから。結果を求めて努力するわけでもないけれど「日本一」などという高い山を登るなんて考えられなかった自分が、この全国大会で、山の頂上が見えるところまでたどり着くことが出来たという実感があります。
 勝負するからには勝ちたいです。これで終わるのではなくここを新たなスタートとして次は頂上を目指したいと思います。
 今回このような結果を残すことが出来たのは、自分だけの力ではなく、周りの人達のおかげだと思います。本当に感謝しています。これからも、人を尊敬することを忘れずに感謝する気持ちをもって、理想の自分に近づけるようにがんばっていこうと思います。