全国中学校柔道大会における国際柔道連盟試合審判規定(新ルール)等の対応について
平成26年2月25日
(公財)日本中学校体育連盟柔道競技部
審判関係担当 高橋 健司
全国中学校柔道大会における国際柔道連盟試合審判規定(新ルール)等の対応について
日頃より、中学校柔道の普及発展にご尽力されていることと存じます。
中体連では、安全確保と健全育成を第一として、全国中学校柔道大会(以下、全中大会)において国際規定「少年大会申し合わせ事項(以下、申し合わせ事項)」及び「全国中学校柔道大会の審判規定に関する確認事項(以下、確認事項)」を適用しています。
昨年11月末に(公財)全日本柔連連盟(以下、全柔連)HPから周知文書「国際柔道連盟試合審判規定2014-2016」(以下、新国際規定)が発出されました。また、現段階においてHPではアップされておりませんが、本年1月に開催されたIJFセミナーにおいて確認があった前述規定の解釈版となる新たな通達文書が、全柔連審判委員会から発出されています。
(公財)日本中学校体育連盟柔道競技部(以下中体連)は、平成25年11月30日~12月1日東京:講道館において、平成25年度全国ブロック長会議(以下、ブロック長会議)を開催し、2014年[平成26年]1月1日より適用される新ルールの対応について検討致しました。
また、平成26年2月14日(金)に開催された全柔連審判委員会で、別紙「IJF審判規定の全柔連導入について」が提案され、承認に至りました。日本中体連柔道競技部会としては、その意向を反映させるべく、中体連各地区ブロック長の確認を経て、特に団体戦の勝ち上がりについて再検討し、以下のように取り扱うことにしました。
新ルールの導入にあたり、昨年来、各方面から懸念や危惧される内容についてご意見いただいておりますが、ブロック長会議で検討し、確認された内容について列挙致します。今後、最終的には全柔連大会事業委員会、審判委員会、全柔連執行部及び日本中体連本部、理事会、評議員会等の審議を経て、正式に施行されます。現段階において決定事項ではないことをご理解ください。
1,新国際規定の取り扱いについて
平成26年度全中大会[愛媛県開催]より適用、導入する。
2,試合時間と試合形式について
(1)個人戦
男子、女子ともに従来通り3分間とする。判定基準は「指導1」及び「有効」からとする。[延長戦(ゴールデンスコア)は無制限とする。
(2)団体戦
男子、女子ともに従来通り3分間とする。判定基準には、新たに「僅差」を取り入れ、その内容に満たない場合は「引き分け」とする。したがって「僅差」は「指導」の差が2以上から発生するが、優劣の成り立ちは以下のようになる。
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「一本」=「反則勝ち」>「技有り」>「有効」>「指導」の差が2以上 |
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団体戦の内容(スコア)が同数になるケースについては、罰則によるスコアよりも、技によるスコアを上位として算出する。したがって、3チームによるリーグ戦が1勝1敗の三つ巴になった場合、前述のスコアによる勝ち数、負け数を勘案してチームの勝ち上がりを決定する。
代表戦は「引き分け」選手の抽選ではなく、従来通り、監督による任意の選出選手とする。判定基準は個人戦と同様とし、3分間の本戦を行う。技によるスコア及び罰則によるスコアが同等の場合は、時間無制限のGS方式によって勝敗を決する。
3,試合場内の審判員1名制について
VTR(CAREシステム)の導入は困難とみなし、従来通りの3名制を原則とする。審判委員(ジュリー)は従来通りの方法で配置するが、指名審判員の際には、審判委員も指名する。
4,試合場内外の攻防について
新国際規定の見極めを適用するが、安全第一を配慮、優先し、試合会場の状況をふまえながら競技運営を行う。
5,寝技の攻防における「危険な状態」について
「申し合わせ事項」は、寝技の攻防において「待て」に関する複数の項目があるが、全柔連審判委員会において、とにかく危険な状態であると審判員が瞬間的に判断したならば、即座に「待て」をかけることが確認されている。事故を未然に防ぐよう、早めに「待て」をかけるべきであるという講道館柔道試合審判規定・少年規定上の教育的配慮が受け継がれていることも確認されている。したがって、今後、「申し合わせ事項」や「審判員マニュアル」が改正される際、精査、簡潔化した内容を進言していく予定である。
<確認として>
今回の改正は「正しい柔道」「ダイナミック柔道」を具現化したものとして、昨年から各国際大会で適用し、実施されています。中体連の立場としては、義務教育下の活動として冒頭で確認した通り、安全確保と健全育成を念頭において競技運営を進めていく必要があります。全中大会を対象とした内容(審判規定等)については、各地方大会に縛るものではありません。適宜、その大会に応じて裁量すべきものがあると思われます。
しかしながら、大切なのは「審判技術の向上」です。教育現場において、繁忙極める職務を遂行しながら大変だとは思いますが、時間のかぎりを尽くし、各種講習会や研修会に参加して研鑽を深めることが肝要と思われます。よろしくお願い致します。